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牛好きな曽根雅弘のブログ。ほとんど牛のおはなしです。

産次数とBrix%

一般的には、IgG濃度は産次が進むにつれて高くなる傾向にあるらしい理由として↓↓

 

・産次が進むとそれだけ様々な抗原にさらされるため抗体のレベルが高くなる。

・特に初産は、乳腺の発達が少なくIgGの乳腺への輸送能力が低下する可能性がある。

 

ただ、初産と二産は変わらなくて三産以上で高くなる、初産・二産・三産変わらず四産以上で高くなるという報告もある。

 

前回のブログで紹介した初乳Brix%のデータ(ホルスタイン種 n=170)を用いて産次でBrix%に違いがあるのか調べてみました↓↓

 

adty.hatenadiary.com

 

産次ごとのBrix%↓↓ 

 

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五産以上の牛の頭数が少ないので四つの産次にまとめた↓↓ 

 

  平均 標準偏差 頭数
初産 24.3 3.17 53
二産 24.0 4.84 40
三産 25.2 4.79 30
四産以上 27.2 4.69 47

 

正規分布の確認→ヒストグラム確率密度関数↓↓ 

 

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視覚的には・・・あやしいのもある⁉

 

正規性の検定を行う→Shapiro-Wilk検定↓↓

  p値
初産 0.70
二産 0.09
三産 0.57
四産以上 0.22

 

検定の結果、すべて正規分布であることが棄却されませんでした。

 

等分散性の確認のためBartlett検定を行った↓↓

 

Bartlett's K-squared = 10.444, df = 3, p-value = 0.01514

 

等分散性を仮定することができなかった(p<0.05)→一元配置分散分析をWelchの方法で行った(すべての群の平均値が等しいかどうか)↓↓

 

F値 = 4.9254, 分子の自由度 = 3.000, 分母の自由度 = 79.706, p値 =0.003441

 

平均値に有意差が認められた(p<0.01)

 

どの群の平均が異なるかを知りたいので多重比較を行う→等分散でなかったのでGames-Howell法を用いた↓↓

※ググったらPMCMRplusというパッケージで出来るみたいですが僕には良くわかりませんでした。もう一回ググるとuserfriendlyscienceの使い方が乗っていたので今回は、これでやってみました。

 

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四産以上と初産の平均値の差は2.952で、p値は0.003(p<0.01)で有意差が認められた

四産以上と二産の平均値の差は3.206で、p値は0.013(p<0.05)で有意差が認められた

 

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この牧場は、未経産の飼養管理レベルが高い・初産分娩月齢にバラつきが少ない・分娩予定一ヶ月くらい前からMP高く(13000gくらい)調整しているのが初産のBrix%が安定している理由なのかも?単純に初産の初回乳量が他の産次に比べ少ないので濃度で見ると変わらなくなるのかな?今回は、初回乳量までは調べていませんが

 

※初乳IgG濃度は、産次だけでなく乾乳日数だとか季節とか初回乳量とか分娩から搾乳までの時間とか牛の体調とか・・・なども関係してくると思う、つまり今回の検定結果は背景が異なるデータを用いている

 



参考文献

 

www.yodosha.co.jp

 

 

https://www.journalofdairyscience.org/article/S0022-0302(08)71414-0/fulltext