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牛好きな曽根雅弘のブログ。ほとんど牛のおはなしです。

膣および直腸の温度の分娩前変化

分娩前から膣温度と直腸温度を計測し分娩予測を行った試験→Journal of Dairy Science ,Volume 94, Issue 10, Pages 5053–5061(2011)

 

↓↓膣温度はこれをシダーに取り付けて計測

vemco.com

 直腸温度は1日2回計測

 

材料

実験1:初産 n=33頭

実験2:産次(3.0±1.4) n=30頭

実験3:産次(3.2±1.7) n=25頭

 

図1:分娩日の膣温度は、24時間前より0.2~0.3℃、48時間前より0.6~0.7℃低かった。

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図1:膣温度

 

図2:分娩日の直腸温度は、24時間前より0.3~0.5℃、48時間前より0.4~0.6℃低かった。

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図2:直腸温度

 

図3:膣温度が0.3℃以上低下すると、24時間以内に分娩が予測された。

感度:62~71%、特異度:81~87%

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図3:膣温度

 

図4:AM7:30で測定された直腸温度が0.3℃以上低下すると、24時間以内に分娩が予測された。

感度:44~69%、特異度:86~88%

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図4:直腸温度

図3図4:膣温度または直腸温度が0.2~0.3℃低下後24時間以内に分娩する正確度が最も高かった。

 

感度:疾患を持っている人の検査陽性の割合(24時間以内に出産し、体温が低下した牛の割合)

特異度:疾患を持っていない人の検査陰性の割合( 24時間以内に出産せず、体温の低下を示さなかった牛の割合)

陽性的中率:陽性が出た人の中で疾患ありの割合(体温の低下を示し、24時間以内に分娩した牛の割合)

陰性的中率:陰性が出た人の中で疾患なしの割合(体温の低下を示さず、24時間以内に出産しなかった牛の割合)

AUC:ROC曲線の下の面積、0~1で評価される。1:最適、0.5:全く相関無し、0:負の相関

 

 

従来は、直腸温度を1日2回測ったり、5mm以上仙骨靭帯が落ち込んだら!とか牛の行動・頸管の開き具合などで総合的に判断していたのですが、LiveCareさん等のように継続的に牛の体温を測る製品もあるようなので確立出来たら分娩予測も楽になるのかもしれませんね。

 


 

AMSの給餌プログラム

搾乳ロボットでの飼育においてPMRの粗濃比とAMSで与える配合量の関係を調査した試験→J.Dairy Sci. 101:9941-9953

 

経産牛8頭を使ったフィードファーストでの試験

 

PMRの粗濃比→低粗飼料(54:46 L-FOR)、高粗飼料(64:36 H-FOR)。

AMSで与える配合飼料→低(2kg/d L-AMS)、高(6kg/d H-AMS)。

 

PMR摂取量はPMRの粗濃比の影響をうけなかったが、AMSでより多くの配合飼料を与えるとPMR摂取量が減少した→AMSの配合飼料を1kg増加するごとにPMR摂取量は0.83kg減少した。

 

また、低粗飼料PMRを給与すると、AMSでの配合飼料摂取量の変動に影響を与える事なく乳量を増やすことができるが、高粗飼料PMR給与と比べてルーメン㏗が低下した。

 

 

 図1:は、https://www.journalofdairyscience.org/article/S0022-0302(18)30846-4/fulltextより作成したものです。

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図1:PMRの粗濃比とAMSでの配合飼料

 ↓↓AMSでの配合量を多く与えると(6kg)、AMSでの配合摂取量の変動が大きくなる(標準偏差)

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