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牛好きな曽根雅弘のブログ。ほとんど牛のおはなしです。

手作りの哺育牛舎④

今回は陽圧換気についてです。今では日本でもメジャーになった陽圧換気ですが換気扇はアマゾンで購入。チューブはパイプ(ネットで購入)を用い自分たちで穴を開けました。チューブはアメリカの方に設計表を送ったら作ってもらえるようですがこのくらいの距離なら手作りでもOKでした。

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アマゾンで購入した家庭用換気扇

↑確か3万円前後(うるおぼえ)で購入。

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換気扇とパイプ

↑こんな感じで設置しました。畜主上手です!

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換気扇

↑通常チューブの直径はファンの直径の1.15~1.3倍必要なのですが上手くつなげています。

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ホルソーで穴あけ

↑ホルソーを買ってきて60cm間隔で開けました。

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PPTVの設計表

 ↑冬の場合、哺育舎内の空気を1時間に4回入れ替えるように設定して(実際には4.4回になった)、子牛の鼻先(床から1m)の風速で毎秒0.3mになるように調整しています。

 

哺育舎のサイズ、使える材料など制限がかかって難しい部分もありましたが何とか形になったと思います。

手作りの哺育牛舎③

冬で厄介なのは寒さともう一つ風!十勝も冬は風が強いです。

そもそも手作り哺育舎の何が心配だったかというと雪で潰されるか風で屋根が吹っ飛ぶかって話で。そこは骨組みをかなり頑丈に作ったと言われていたので大丈夫だとは思うのですが・・・

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9月1日~4月1日2013年~2017年最大風速と風向帯広市泉町

 ↑またまた気象庁からのデータをグラフにしてみました。風向きを考慮して哺育舎の立地場所を工夫してみるのも良いかもしれません。さいわい今回の牛舎は建物と建物の間なので風の心配は少なそうです(隙間風は問題あり)。こうしてみてみると冬は北から風が吹いてる事が分かるのですがちょっと西寄りの北北西から吹いてるようです。今気づいたけど10月からのデータ方が良かったかもしれませんね。気象のことはよくわからないけど瞬間最大風速を用いた方が良かったのかな?ちなみに最大風速は10分間の平均風速の最大値(その日の)、瞬間最大風速は0.25秒間隔で測定された3秒間平均した値の最大値(その日の)らしい。風速は→http://weather-gpv.info/gw.php

 

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1月1日~12月31日2015年~2018年帯広市泉町一日の平均風速

↑もっとなんか表現の仕方があったのかもしれませんがあまり得意ではないので・・・機会があれば瞬間最大風速を調べてみようと思います十勝の冬でも台風並みの風は吹いていると思うので。

いづれにしても冬の寒さや風から子牛を守るため良い哺育舎があれば助かりますよね。牛に関わる仕事は気を使う事が多いのですが中でも子牛の管理はデリケートです。くわえて冬の外での哺育は身に沁みます。今回のような哺育舎や頑丈なビニールハウスの中にハッチを置くとか、思い切って哺育ロボットにすることがもし可能であれば哺育担当者の負担も軽減されると思います。

手作りの哺育牛舎②

陽圧換気についてはまた今度記事にしようと思いますが基本的には冬でも室内の空気を時間当たり4回入れ替えないといけないようです(24時間換気)。2018年の秋には完成した哺育牛舎で最初のころは子牛の調子も良く換気扇を動かしておけばカーテンを閉め切っていてもアンモニア臭がない!と好評でした。しかし、本格的に寒くなってからは風邪と診断された牛が数頭出てしまいました。換気は問題なかったのですが防寒に問題があったようです。遠赤外線ヒーターと防寒ジャケットを全頭に用いたのですが手作り牛舎は隙間風など防寒面で工夫が必要そうです(なにせ畜主曰く外気温とそこまで変わらないみたいなので・・・)

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2018年10月1日~2019年3月1日帯広市泉町最低気温

 ↑哺育牛舎から約5kmはなれた観測地点のデータを気象庁のホームページから引っ張ってきてグラフにしたものです。短い時間でも寒いとダメージはあるよねってことと哺育舎は日中に晴れていると子牛がジャケットの内側で汗をかくくらい暖かくなってしまい夜との寒暖の差も影響あるのかもということで平均気温ではなく最低気温を用いました。-30度は厳しいですね

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9月1日~4月1日2013年~2017年帯広市泉町最低気温

子牛の適温域は13℃~25℃なので泉町のデータではだいたい10月に入ったら最低気温で0℃以下になってしまい4月くらいまで子牛の防寒&換気の両立と戦わなければなりません!それを手作り哺育舎で挑戦しようというのが今回のテーマですねw

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換気扇を夜だけ止めて置けるようにしたタイマー

↑セオリーでは24時間換気のようですが夜だけ換気を止めて防寒の方を重視してみました。すると調子を崩す子牛も少なくなったそうです。来年の冬に向け防寒対策の工夫が必要ですね。

 

手作りの哺育牛舎①

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手作りの哺育牛舎

↑16頭入りの哺育牛舎を手作りしてみましたという話をしていこうと思います。

建設費用が高騰する中、約100万円でつくれました。もちろん労力などバランスを考えないといけないと思いますが一緒に作ることで連帯感も産まれそうですね。それにしても畜主は器用です。

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16頭哺育牛舎の可愛らしい陽圧換気

せっかくなので陽圧換気にしてみました。世界一ミニマムな陽圧換気の哺育牛舎(?)

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↑ハッチも手作りです。後ろのコンパネが外れるようになっておりユンボで掃除ができます。今人気の組み立て式のカーフハッチも安くはないですからね。こちらはハッチ+哺育牛舎で100万円だったようです。

 

 

 

搾乳ロボットと蹄病②

搾乳ロボットでDDの予防

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搾乳ロボットでの蹄浴槽の置き場所

↑DD予防の基本はやはり蹄浴!搾乳ロボットの出口付近に置くと搾乳ロボットへのアクセスに影響するそうなので戻り通路があるのであれば搾乳ロボットから離れた場所に置くのが良いと思います。

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フーフスプレーヤHS

↑デラバルにはフーフースプレイヤーというのがありロボット訪問毎に後ろ肢を自動的に洗浄してくれます。最終ティーカップ装着完了10秒経過後に水のスプレーで蹄の汚れを流すと同時にロボット内フロアを清潔に出来る。

1日2回、水で蹄を洗浄するだけでDDの発症が約25%削減さるらしい!!(Thomsen et al., 2012)

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お客さんの実際のフーフースプレイヤー

↑お客さんの所は横から水が出ているためちょっと微妙なきが・・・

 

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マット通路と自動スクレッパー

↑スクレッパーの糞尿のたまりは、DDの感染や蹄を柔らかくしてしまいますので自動スクレッパーの回数を増やしたり換気を良くしたりしてマットを出来るだけ乾いた状態にしておくのが大切だと思います。

搾乳ロボットと蹄病①

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搾乳ロボットのマット通路と自動スクレッパー

今回は、搾乳ロボットでの蹄管理についてです。搾乳ロボットでの牛の行動パターンはパーラー搾乳とは違うようで例えば、搾乳室(搾乳ロボット)への移動は牛自身で行うためフェッチカウ以外の牛は人による誘導が必要なくなる→たまに荒い誘導をする人がいるので牛がカッチャク事が多くなる→それにより引き起こされる白帯病・蹄低潰瘍のリスクが減らせそう!また、ホールディングエリアで搾乳まで待機することもないので起立時間も短縮できそうです。

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ロボット牛舎での蹄病(H29.2.27~H30.5.11)

↑搾乳ロボットでの削蹄時蹄病状況です。削蹄時蹄病率→20%、そのうちDDの割合が61%

搾乳ロボットにした方が蹄病が減ったという話は聞くもののいくつか問題があり自動スクレッパーの移動中糞尿が溜まりそのことによりDDの発生率があがったり、マット通路が必ずしも良いわけではなくマットが柔らかすぎる場合蹄底に負荷がかかり血の巡りが悪くなる可能性があるそうです。また、自動スクレッパー導入により敷料に制限がかかりマットとの組み合わせによっては牛の起立時間が増える可能性もあるようです。

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フリーストール牛舎での蹄病(H28.11.7~H30.1.11)

↑パーラー搾乳での削蹄時蹄病状況です。削蹄時蹄病率→54%、そのうちDDの割合が53%。牛も過密気味の時期であったため蹄病が普段よりも増加傾向

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パーラー搾乳と搾乳ロボットでの比較

↑パーラー搾乳と搾乳ロボットで比較してみました。そもそも削蹄師さんが違うので蹄病の評価も少し違いますし餌の管理やストールサイズ・通路などの状況も異なるので搾乳ロボットで蹄病多い少ないとは言いづらいです。

 

いずれにしろ搾乳ロボットでの蹄管理はとても重要です(搾乳ロボット・飼槽へのアクセス)特に、DDの対策。フリーフローに関してはルーメンのバランスが崩れやすくなるので餌の調整に気を使わないと。