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牛好きな曽根雅弘のブログ。ほとんど牛のおはなしです。

とうもろこし④

ルーメンでのデンプン消化率が悪いと下部消化管に流入するデンプンが増えるので大腸性アシドーシスの危険性が増えたり、腸で分解されたデンプンのほとんどがPDV(門脈に流入する血管が走る内臓)で脂肪組織に使われるためエネルギー効率が悪くなる。

 

[デンプンの消化]

ルーメンでの発酵率が低いほど多くのデンプンが下部消化管へ流出する→ルーメンから流入してきたデンプンは小腸で分解されるが、ルーメンほど分解率は高くない→後腸に流入(ここでも分解はされる)→残り物は排泄。

201608-sniffen-the-nutritionist-brazil.pdf

[デンプンの分解に対する考え方]

デンプンはふたつの構成部位に分けられる

  1. 分解の速いデンプン:酵素で2時間以内に消失。ルーメンで90-100%分解→分解を免れたデンプンも小腸で100%分解される。
  2. 分解の遅いデンプン:2時間では消失せず、分解速度が遅くルーメンと小腸で分解される。分解速度はパーティクルサイズ、密度・デンプン供給元とタイプ・加工処理(蒸気フレーク処理、蒸気ロール処理)などにより影響を受ける 

201608-sniffen-the-nutritionist-brazil.pdf

↓↓図は201608-sniffen-the-nutritionist-brazil.pdfから引用しています。トウモロコシには粉状胚乳と角質胚乳があり成熟度が進むにつれ角質胚乳の割合が多くなり、そのことによりルーメンでのデンプン消化率が悪くなっていきます。

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トウモロコシの成熟度が進むにつれガラス化した硬い角質胚乳(プロラミンが多い)の割合が増える→トウモロコシデンプンのルーメンでの消化率が悪くなる