AdtyCow,blog

牛好きな曽根雅弘のブログ。ほとんど牛のおはなしです。

牧場ごとで乳成分(乳脂率・乳蛋白質率・MUN)を比較してみた

B牧場は決して周産期病が多い牧場ではないので泌乳初期のエネルギー充足とMUNのコントロールを気を付けるともっと楽に牛が飼えそうです。 図1図2図3はある2つの牧場の乳成分を一年間の乳検データを用いて比較してみました。 A牧場→妊娠率22%、年間牛群平均…

乳中ケトン体濃度(乳中BHB)

分娩後日数30日以内の乳中BHBについて調べてみました。 データ数が少ないので注意が必要ですが、乳脂率が5%以上の牛あるいはF/P比が1.4以上の牛であっても乳中BHBが0.13mmol/L以上にならない場合もあるという事です。 図1図2はある牧場の分娩後日数30日以内…

産次と乳成分

産次と乳成分の関係を調べてみました。 産次と乳脂率 産次が進むにつれて体重や乳量も増えるため分娩後の体脂肪動員のリスクが増える、乳量が少なく体蓄積の低い初産牛の分娩後乳脂率が高い傾向になるのは分娩時の環境変化やダメージによる乾物摂取量不足の…

分娩後日数と乳成分

分娩後日数と乳成分の関係をざっくり調べてみました。 分娩後日数と乳脂率 体脂肪動員やアシドーシスのリスクが高い分娩後の乳脂率はばらつく傾向があり、分娩後30日以内に乳脂率5%を超えるような牛はその後急激に乳脂率が低下してしまう傾向にあります。分…

北海道市町村別→人口比(牛の頭数)

北海道に牛は約135万頭いるのに対し北海道の人口は約538万人ですが市町村別にみると人より牛の方が多い市町村も存在します。 図1図2:牛の頭数を人口で割ってみて人より牛の多い市町村がどれだけあるのか調べてみました。市町村別牛の頭数は家畜改良センター…

北海道→市町村別牛の頭数(2017年9月)

家畜改良センターのデータによると北海道の牛の総数は1349105頭でホルスタイン種が1005566頭、黒毛和種が180783頭だそうで(2017年9月時点)、北海道の牛の約75%がホルスタイン種です。 図1図2:は家畜改良センターHPからデータをもらい市町村別飼養頭数(北海道…

都府県のホルスタイン飼養頭数

家畜改良センターのデータによると全国のホルスタイン飼養頭数は♂♀合わせて1621187頭(2019年5月31日時点)だそうでその内北海道は1012828頭と約63%をしめています。 図1図2:は家畜改良センターのデータから都府県のホルスタイン♂♀飼養頭数をグラフしてみまし…

牛乳等の年間1人当たり消費量の推移

JミルクHPから乳製品の年間一人当たり消費量のデータを頂きグラフにしてみました。 寝る前のホットミルクを習慣にしていますが寝つきが良くなりとてもオススメです。 図1:牛乳等の年間1人当たり消費量の推移(1985年~2017年) http://www.j-milk.jp/gyokai/dat…

バイパスリジン

ルーメンバイパスリジン製剤は、ルーメン内微生物によって利用されないように加工された添加剤のことですが、どれだけルーメンでの利用を免れるかの評価はin situやin vitroなどの試験によって多く行われているようです。しかし、バイパスリジン製剤をTMRに…

THIとMUN

THI

もう7月だというのに十勝はまだそこまで気温は高くなく夜中は涼しいくらいです。今回はTHIの話をしようと思いますが、THIというと繁殖・乳量や疾病との関係が真っ先に浮かんできますがTHIが高くなるとMUNにも影響するそうです。 図1に示したグラフは、J Dair…

初産分娩月齢④

まとめ 今回言いたかったのは初産分娩月齢を21-22カ月齢にしようという事ではなくそれぞれの牧場にあった初産分娩月齢を検討してみましょうという事です。 ↓↓メリットとデメリットをまとめてみました。 今回のA・B・C牧場では、3産以上の平均乳量に対しての…

初産分娩月齢③

↓↓3つの牧場で初産分娩月齢ごとの死産率を出してみました。←やはり初産分娩月齢を早めることで一番心配なのが死産や難産への影響かなと思います。たとえ死産率が低くくても初産分娩時体重が足りていない場合、難産などによる母子へのダメージに注意が必要だ…

初産分娩月齢②

今度は、初産分娩月齢が繁殖にどのように影響したかをモニターする事により牧場ごとの最適な初産分娩月齢を考えていこうと思います。 ↓↓3つの牧場の初産分娩月齢と繁殖成績 A牧場 A牧場 A牧場(初産妊娠率25%発情発見率80%) 初産分娩月齢=21カ月齢以下(n=15 …

初産分娩月齢①

初産分娩月齢が24ヶ月齢を超える経営的なメリットは少ないと思いますが、初産分娩月齢21~22ヶ月齢を安全に達成するには、初産分娩時体重のモニターが必要で、目標は成熟時体重の85%以上(最低でも83%)なので日本では牛が大きくなってきていることもあり最低で…

死亡リスクの高い月齢

図1、は独立行政法人家畜改良センターのデータから作成したものですが全頭数と月齢ごとの死亡頭数から死亡割合を計算してグラフにしたものです。 もちろん哺育期間が一番死亡割合が高いです。初産分娩・2産3産~と分娩前後に死亡割合が高くなっています。あと…

前産次の空胎日数

分娩後日数150日以上で受胎した牛の次産次の周産期疾病割合は150日未満の牛と比較して約3倍になると聞いたことがあります。(誰に聞いたのかどこに書いてあったのかは覚えていません) 今回は、前産次の空胎日数が今産次の繁殖にどのように影響したのか調べて…

マイコトキシン③

図1、のようにNDSでは粗飼料や穀物のマイコトキシンを分析したら結果を入れとけます。こんなにマイコトキシンに汚染されていたらたまったものではありませんが今回は適当に数値を入れてみました。(コーンS乾物32%で現物25K給与、ラップS乾物81.5%で現物3K給…

マイコトキシン②

図1と図2はAlltech社が北海道で2012年~2016年にかけてサイレージ中に含まれるマイコトキシンを分析したデータです。 図1はコーンSでサンプル数は62検体です。マイコトキシンが全く検出さてなかった検体は全体の僅か14.52%でしかなく平均で6.1種類のマイコト…

マイコトキシン①

マイコトキシン(カビ毒)とは、カビ(真菌)からの代謝産物のことで約300種類以上存在するらしい。図1では代表的なカビの種類とカビから産生される毒素(マイコトキシン)を示した。 図1、カビとマイコトキシン カビは10-40℃の温度域と4-8pHの環境を好み増殖する…

WSCとESC

糖というのは一般的に単糖類・少糖類(オリゴ糖)を指しますが飼料中の糖はWSCとESCの二つの方法が用いられています(CNCPSでいうCHO A4)。 WSC(水溶性炭水化物)=単糖類、二糖類、オリゴ糖類、フルクタン ESC(エタノール可溶性炭水化物)=単糖類、二糖類、オリゴ…

脂肪酸分析してみた

ご存知のように牛乳中には約3.5-4.0%の脂質が含まれています。脂質にはトリグリセリド(中性脂肪)、リン脂質、糖脂質、遊離脂肪酸など数種類存在し牛乳中の脂質は98%-99%がトリグリセリドです。 図1、トリグリセリド 図1で示したようにトリグリセリドは1分子…

発酵性炭水化物④

今度は、TMRAとBでルーメン㏗が5.8以下になる時間を比較してみました。図1と図2はNDSで一日の内ルーメン㏗5.8以下になる時間を予測したものです。 図1、AのTMR。4.74時間 図2、BのTMR。5.20時間 ルーメン㏗5.8以下になる予測時間は、PeNDFやルーメン発酵性デ…

発酵性炭水化物③

前回AとB二つのTMRを作りました。Corn Ground Steam Rolled 34 ldの7時間培養でのデンプン消化率だけを変えたTMRですね。Aが46(%Starch)Bが67(%Starch)の圧ペントウモロコシをそれぞれ使用したのですが今回は、AのTMRとBのTMRでTTSD(総消化管デンプン消化率)…

発酵性炭水化物②

ルーメンでの発酵スピードは穀物によって違います。小麦→大麦→エンバク→トウモロコシ→ソルガムの順で発酵スピードが遅くなります。また、同じトウモロコシでも蒸気圧ペン・粉砕コーンなど加工方法によっても違ってきます。さらに粉砕コーンにもFine(微粉砕)~…

発酵性炭水化物①

炭水化物とくにデンプンはルーメンでの発酵性が重要かも!ってことは分かってきた感じがしますがでは実際に設計するにはどの程度が良いの?というガイドラインが必要ですね。今日はそれです。 図1で示した表は、WCDS Advances in Dairy Technology 2011での…

とうもろこし⑤

トウモロコシの種類 Dent(デントコーン):軟質デンプンは内層にあり(頂部は露出している)硬質デンプンは外層にある。主に飼料用 Flint(フリントコーン):軟質デンプンは内装にあり(外部に露出しない)硬質デンプンは外層にある(デントコーンの圧ペンよりルーメ…

とうもろこし④

ルーメンでのデンプン消化率が悪いと下部消化管に流入するデンプンが増えるので大腸性アシドーシスの危険性が増えたり、腸で分解されたデンプンのほとんどがPDV(門脈に流入する血管が走る内臓)で脂肪組織に使われるためエネルギー効率が悪くなる。 [デンプン…

とうもろこし③

トウモロコシの成熟度の変化で消化率がなぜ変わるのかを調べてみました。 図1~図3に示したグラフは、J Dairy Sci85(11),2002に掲載された論文から引用しています。この論文では、⽶国産デントコーン14種類(ハーフミルクライン(黄熟期)、ブラックレイヤー(完…

とうもろこし②

トウモロコシ種子の胚乳は、柔らかい粉状胚乳とガラス化した硬い角質胚乳の二種類あるらしい。 Floury endosperm=柔らかい粉状胚乳:デントコーンの場合、粉状胚乳と角質胚乳は同程度の割合で存在する。 Vitreous endosperm=ガラス化した硬い角質胚乳:粉状…

とうもろこし①

トウモロコシの種子は主に、果皮・胚芽と胚乳の3つで構成されており胚乳にデンプンが多く含まれています。 胚乳のデンプンはタンパク質によってカプセル状に覆われていて、トウモロコシ胚乳のタンパク質はアルブミン・グロブリン・グルテリン・プロラミンの…